Since 2009
いつの間にかブログで連載中断状態だったから、気が向いたので全文掲載。
ただし、あまりクオリティのよくない作品につき注意。
2009年ぐらいの作品
心臓がばくばくして、脚も手も頭もいうことを利かない。これから千人単位の群衆を前にすることを考えたら、口が動くどうか、さっぱり分からない。そもそも人前に出るということがない人生だったために、怖さも体を固めてしまっている。
私はこれから、集会で演説する。グアミ教という宗教にある、異端制度に反対するのだ。罪のない人を異端として殺す教会に反対するように訴える。仲間を増やし、大勢で迫れば教会だって無視はできまい。全員を異端にして殺すには大きすぎる、そのぐらいの人を集めなければならない。
その第一歩に、彼女は大きくも小さくもない、田舎なのか都会なのかさっぱり分からない場所を選んだ。都会でやるのは緊張するから、けれども田舎だと人が集まらないからと、この町を選んだらしい。
彼女とはまだ出会ってから数カ月しかたっていない。けれども、なんだか血がつながっているような気持ちだった。遠くで原稿に目を通している姿をみると、かわいらしく思えてきた。紙を持つ指先、髪の流れ、座っている姿全部が。私が買ってあげた服も映える。
出会ったころには、こんなことを想像することはできなかった。