にの、にの?

Since 2009

とっぷぅあばうと小説あり□ 同人誤字脱字案内メール

二次創作

身の回りが、エライコッチャ

前回なんてなかった。

ばとねアンソロのお話第2弾。
「ばとねのかたまり2」所収。
リミュレたちの話ではなく、理恵や鈴藤由姉妹のほうのお話。

2011年作品

原著作者情報

原著作者=木下英一
ばとね!

連載

家の門を抜けたところまでクリスはついてきてくれた。美由紀はなんとか心を落ち着かせた様子で、卒業生を見送るクリスへ申し訳なさそうな声でお礼を口にしていた。最後の最後になってようやく冷静になれたらしい。

「こっちが勝手に泣きじゃくってただけだったのに、いろいろしてくれて、しかも見ず知らずの相手なのに」

「いえ、これもなにかも縁でしょう。なんとなく、そう思えるんです」

「だからっていきなりメルアドを教えてくれるだなんて」

「みゆさんだって教えてくれたじゃありませんか」

「それはだって、クリスさんが教えてくれたから」

「私はこれが縁だと思ってますから、教えないわけにはいきません」

クリスはふと腕を持ち上げて、手首の腕時計を見下ろした。次の瞬間には、理恵や美由紀たちの向こうを覗き見るようにつま先立ちをして、それから背後に振り返った。実は人が来る約束となってるので――やや落ち着きを失ったようにあたりを気にしていた。

そこでみんなをまとめるのが理恵だ、それじゃいこう、と声を出して、誰よりも先にクリスへ別れの言葉を告げた。後を追うようにしてみんなが挨拶をして、それから帰り道へと、まさにクリスが目を向けているほうへと脚を進めた。

少しばかり進んだところで振り返ってみれば、クリスがこちらに頭を下げていた。そして、クリスの背後にビニール袋をさげたメイド服のネコミミが、こちらを呆然と眺めているのを発見したのだった。

<<モドル||