×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

にの、にの?

Since 2009

とっぷぅあばうと小説あり□ 同人誤字脱字案内メール

東日本大震災追悼作品

リラン2012

東日本大震災より1年が経過しました。
心より追悼の念をこめて、この作品を発表させていただきます。
破壊された場所が美しく生まれ変わることを願いました。


余談ですが、G.A.の中で登場した紙芝居やサンドボックスゲームMinecraftにデジャブを感じる人は私だけではないと思います。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
この 作品 は クリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 3.0 非移植 ライセンスの下に提供されています。

非営利=非課金が当サークルでの「非営利」の認識ですが、この作品につきましては、東日本大震災への募金用途に限って認めるものとします。

リランはびくびくしていました。

脚を伸ばしているのは分かっています。ですが、リランはどこにいるのかが分かりませんでした。足元は真っ暗で、足元がどうなっているのか全く分からないのです。宙に浮かんでいるのか、それともどこかに立っているのかさえも分かりません。

いいえ、足元だけではありません。リランは脚を見ることができませんでした。感覚としてはそこにあるのに、目でその姿を確かめられません。同じように、手を動かしてみても、お腹に触れてみても、目の前は真っ暗でなにも変わりません。ただただ、動かした、触った、といった感覚が生まれるのみです。

一歩、二歩、と歩いたのはよかったのですが、やはり怖さが上回ってしまって、リランは動けなくなってしまいました。次に動いたところで、そこになにもなければどこかに落ちてしまいます。落ちてしまうことは分かりますが、しかし、どこに落ちるのかも分かりません。なにせ、どこもかしこも真っ黒で、その先になるがあるのか分かりませんもの。

真っ黒だった世界がたちまち赤くなったはそのときです。一面真っ赤で、鮮やかな色愛に目が痛くなってしまうほど。痛くなるだけではありません。熱いのです。真夏のような嫌な熱さどころではないほどの、まるで火の中に投げ込まれたかのような熱さです。

リランは慌てふためいて走りだしました。なにせ足の裏も暑くてたまらないのですから。そのままじっとしていれば、足の裏が焦げてしまいそうです。

リランは、赤い世界のなかに青い場所を見つけました。リランはそれがすぐに水のようなひんやりとした場所だと思いました。だからそこへ向かって、熱さを通り超えた痛みを感じている足を精一杯動かしました。

ですが、びっくりしたことに、青い場所へ近づく速さが思ったよりも速いのです。リランが走る普段の速さと比べれば、青い場所に近づいてゆくのはあまりにも速いのです。どうしてだろう、と思ったのですが、早く熱い世界から逃れられるならそれにこしたことはないわけですから、特に気にかけはしませんでした。

次の瞬間、青色がリランを襲いました。脚をバタバタさせて走ろうとしても、全然前に進みません。それどころか、グールグールとゆっくり体が回って、どこが正面でどこが後ろなのか、全く分からなくなってしまいました。息もできなくて、どんどん苦しさが増してきます。口をあんぐりと開けて息を吸いたいけれども、口を開けたら最後、青色が体の中に入ってきてしまいそうで、必死にこらえました。

目の前が白くなりそうな中、青い場所にはいろんな色が紛れていました。緑色がたくさん、茶色もたくさん、黄色もたくさん――青い色はあらゆる色を抱えて暴れているのでした。

青色は次第に落ち着いて、真っ黒な世界が戻ってきました。ですが、上も下も右も左も真っ黒なあの世界ではありません。地面ができていました。いろんな色がぐちゃぐちゃにまざった、散らかり放題のありさまです。

リランはぐちゃぐちゃな一面を見渡して、なんてひどい光景なのだろう、と思いました。いろんな色が、ただそこにあるだけ。まじりあわないで、まるで石のように転がっています。

リランはその場にしゃがみ込んで、色の欠片を手に取りました。茶色がかたまりになったものです。茶色のかたまりをさらにもうひとつ手に取って、ふたつをひとつにまとめてみました。するとどうでしょう、木の枝ができました。

リランは色が枝になった瞬間、ぱあっと目を輝かせて、さらに茶色を集めてはくっつけてを繰り返しました。着実に大きくなってゆく茶色は、次第に大きくなって、手に持ちきれなくなったら地面に立てて、手に届く範囲ではかたまりを押しつけて、届かないところは投げてくっつけました。

するとどうでしょう、大きな木が出来上がりました。ですが、枝の先にはなにもなくて、枯れ木のようで寂しい様子です。リランが足元を見れば、緑色のかたまりがありました。拾いあげてみると、やわらかくて綿のようでした。いくつかの緑をボール状にして、木の枝に投げました。すると枝にくっついた緑色は葉っぱとなったのです。そして、ちょっとだけまざった桃色は、きれいな花となったのです。

リランは同じようにたくさんのものをつくりました。緑色と茶色をお寿司のように重ねて地面に置いていけば、あたりは草原になりました。黒に白を混ぜてから、ひとつずつちぎっていけば石になりましたし、逆に大きいままにしておけば岩となりました。茶色に敷いた地面にくぼみを作って、青いかたまりを投げ入れれば湖や海になりました。緑色を細長くして、黄色をその先につければヒマワリとなりました。

青いかたまりはそれだけではなりません、リランは真っ黒な上に向かって投げました。何度も繰り返してゆくと、次第に一面が澄み渡った青空となりました。太陽を作ろうと思って白いかたまりを投げてみましたけれども、空に溶け込んで雲になってしまいました。そこでリランは、ヒマワリから花びらをひとつ摘み取って、白色に混ぜてから投げました。真ん丸に丸めたそれは空の色合いを突き抜けて、さらに上からさんさんと明かりを照らすようになったのです。